人生100年時代に求められる人材像とは〜スタディサプリ教育AI研究所所長 小宮山利恵子さん

 

まちづくりは、人づくりであるとはよく言われることです。では、どんな人材が必要なのでしょうか。どのようにそうした人材を育成し、社会に送り出していけばいいのでしょうか。

総務省人材力活性化・連携交流室がまとめた「地域づくり人 育成ハンドブック」には、これからの社会に求められる人材像として、「一人一人が役割を得てやりがいを感じながら活動すること」「リーダーとともに地域活動を楽しみ、自信を持って前向きに取り組むこと」が必要だと書かれています。

現在、私が代表を務める宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」でも、そうした人材の必要性を感じ、さまざまな人材育成事業を行なっています。目指すのは、地域リーダーを世界中に輩出し続ける人材育成の聖地・新富町の実現です。

こゆ財団は、スタディサプリ教育AI研究所所長で国立大学法人 東京学芸大学大学院准教授である小宮山利恵子さんをアドバイザーにお迎えし、「しんとみ教育まちづくりプロジェクト」を2019年6月からスタートさせます。

ここでは、私たちが目指す方向性、そして人生100年時代に求められる人材像について、小宮山さんと行なった対談をお届けします。

「好きを追求する人」を育てる

齋藤
私は、新富町がこれからの地域に必要な人材を育成する先進地域になり、ずっと人が居続ける地域にしたいと思っています。そこには、地域のいろいろな立場の方から子どもたちまでが関わり、地域のことを一緒に考えていく機会もつくっていきたいんですよね。

そうするためには、どんな人を育てればいいのか。私の考えは、「好きを追求する人」なんですが、小宮山さんはいかがですか?

子どもx大人のコラボレーション

小宮山
同感です。一方で、自分は何が好きなのかわからない、という人も多いですよね。子どものころから自分の好きなことを見つけておくとよいのでは。例えば、こゆ財団が社会人向けに実施している人材育成塾を、子ども向けに転用してみてはどうですか?

齋藤
確かに。ただ、成果がわかりにくい面があるので、全国各地で地域リーダーとして活動している30〜40代の人材に学びの機会を提供し、子どもたちはその一部に関わるというのがよいのではと思っています。懇親会で話をして「小宮山さんの話を聞いて将来やりたいことが見えてきた!」みたいにいってくれる子が現れるといいなと。

小宮山
それは素敵ですね!

齋藤
そういう場だとわかれば、お父さんお母さんも「すごい方々がいっぱいきてるからお話聞きにいってらっしゃい!」といってくれるかもしれません。

自分を知るというのはすごく大事なこと

小宮山
私も新富町で行われたプログラム「地域リーダーズキャンプ」に参加したんですが、新富町は東京では得られないリアルな体験が目白押しで、子どもを留学させたいと本気で思いました。お茶づくりやウミガメ観察…どれも都会では不可能です。

齋藤
オンラインで授業を受講するミネルヴァ大学を見ていても感じるんですが、教科教育はオンラインで完結しますよね。YouTubeでもできる。だから、せっかく会う機会があるのであれば、意見交換や体を動かすワークショップに時間を使う方がいいと思います。

小宮山
そうですね。「リーダーズキャンプ」に参加して感じたのですが、地域のリーダーたちはみな立ち止まる時間がないんだなと。キャンプの間、みなが肩書きを横に置き、立ち止まって自分自身と向き合っているのを感じました。

立ち止まって自分自身を知る時間が必要

齋藤
自分を知るというのはすごく大事なこと。みんな自分を知りたいと思っていますよね。

小宮山
大人から子どもまで、日本全体に何だかゆっくりやってはダメだというムードを感じます。だからこそ、立ち止まって自分自身を知る時間が必要だし、それを目的とする旅もこれから流行り始めるように思います。

齋藤
今あるスタディツアーを超えたプログラムが必要になってくるでしょうね。「リーダーズキャンプ 」は一つのモデルになるかも。自分自身を掘り下げて、今を生きることの大切さを意識できる場ですからね。ベンチャーキャピタリストの伊藤穰一さんがナウイストという言葉を使っていましたが、これからの地域に必要な人というのは、過去でも未来でもなく、今を生きる人なのかもしれません。

小宮山
ナウイスト、いいですね!

齋藤
今を生きる人たちが集まって、共に学び合う場。そこに地域の子どもたちも交わって、一緒にごはんを食べながら話をたっぷり聞く。刺激を受けた子どもたちは「自分もあの人みたいになりたい」と感じる。これってすごくいいキャリア教育だと思いますよ。

次世代の地域リーダーの育成

小宮山
学校の現場では、親でも先生でもない第三の大人に子どもたちをいかに触れさせるかが議論されているんですが、継続して実施できているところはほとんどないんですよ。最初の取っ掛かりとなるアクションも大事ですが、ゴールが定まっていないので継続できないんですよね。

齋藤
それでいうと、ゴールはやはり次世代の地域リーダーの育成になるのではないでしょうか。リーダーズキャンプのようなプログラムは、そのためのカンフル剤になると思います。地域の若手に刺激が加われば、そこから何らかのプロジェクトが生まれるかもしれませんし、刺激になるだけでも大きい。

小宮山
全国でもそういう取り組みは聞いたことがないですね。

教育まちづくり in 新富町プロジェクトが始動

齋藤
そうだと思います。だからこそ、地域リーダーたちと、子どもたちを含む地域の人材との接点をもっと作れるようプログラムを磨いていきたいなと思います。

小宮山
とてもいいと思います。地域リーダーたちからすれば、新富町のような地域に来るだけでもずいぶん刺激になると思いますよ。人は無意識のうちに自分が気持ちよくいられる場所、コンフォートゾーンに入ってしまうもの。地域を旅するという行為は、そこから抜け出して頭の中にたくさんのはてなマークをつくることにつながります。

齋藤
日本を代表する起業家の大前研一さんや、立命館アジア太平洋大学の出口学長も、旅が学びに与える影響は大きいという話をしていますね。

小宮山
そのとおりです。旅は、予定調和から脱して異なる視点を得るのにとても効果的です。

齋藤
地域リーダーが新富町を訪れ、子どもたちを含む地域の人材と関わりながら、今を生きる自分自身のこと、自分が好きなことを再発見する旅をする。

リーダーたちには活力と新たな仲間が生まれ、地域の人材には刺激と将来への展望が生まれる。

まさに、これですね。新富町がこれからの地域に必要な人材を育成する先進地域になるには、こうしたプログラムを「しんとみ教育まちづくりプロジェクト」として実行しつづけていくことが大切なんだと感じます。

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