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儲かる農業とは!? 農業にテクノロジーをかけあわせたスマートアグリ議論(テラスマイル生駒氏他)

儲からないイメージの強い農業。しかしテクノロジーとかけあわせたら儲かるビジネスなのでは? そんな農業×テクノロジーの未来について大議論した「AGRITECH Summit 2019」が開かれた。

登壇したのは、農業のIT化に携わり、農業経営に特化した分析クラウド「Right ARM」を提供しているテラスマイル株式会社代表取締役の生駒祐一さん、自分でつくって自分で食べる「自産自消のできる社会」を目指している株式会社マイファームの浪越隆雅さん、“稼いで町に再投資する”をモットーに立ち上がった宮崎県新富町の地域商社・こゆ財団執行理事の岡本啓二さんの3名。同じくこゆ財団代表理事の齋藤潤一さんの進行により、トークセッションが行われた。

参加者からは10以上の質問が出てくるなど、会場は農業の将来についての議論が飛び交った。

“農業=儲からない”は幻想? 既成概念をはずすのが儲かるコツ

齋藤:今日は農業業界のトップリーダー3名に集まっていただきました。さっそくですが、農業業界の課題を語っていただけますか。

生駒:1つ目は雇用。時給に見合う生産性向上ができていません。2つ目は物流費。法規制により輸送費が上がって農作物を最大の消費地である東京に運べない。3つ目は新規就農・新規ビジネスを行うためのデータが少ないこと。そして小売業界の競争が激化し、農業者への価格・品質の圧力が強くなっていること。この4つだと思います。

岡本:私は農家同士のコミュニティがないことだと思いますね。今、新富町で「ローカル農業研究会」を月1回開いていて、テラスマイルさんが出してくれたデータ解析をしたり、課題や事例をシェアする機会を設けています。あとは、自分でやりたい農業ができにくいことですね。

浪越:土地が確保できないとか、初期投資が高くてやれないだとか、壁がありますよね。「農家になって儲かる」ところまで引き上げてくれる仕組みがなく、私はその仕組みをつくりたいなと思っています。あと、そもそも農業分野に人が少ないため、ITリテラシーが低い人、農業を楽しいと前向きに取り組んでいない人が多いです。

齋藤:売れる仕組みがないところ、儲かりにくいというのが農業全体の課題みたいですね。僕は周囲の人を見るに、儲からないというのは幻想だと思っているんですよ。個人事業主が多いため、税金対策で所得を抑えるためにテレビや車を買っていて、そのために世間に公表される所得額が少ないだけだと思うんですが、どう思います?

「農業が一番儲かる」が口癖

岡本:ローカル農業研究会にいる方で、「農業が一番儲かる」が口癖の方がいます。儲かりたいなら、先駆者から学ぶのは方法の1つとしてありでしょう。

浪越:そう、やり方を間違えなければ、農業って儲かるんですよ。ただ、儲かるまでたどり着けないのが一番の課題ですね。場所ややり方を一度決めてしまうと、数年後に違うと思ってもリカバリーが難しい場合があります。農業の全体像をみて、自分がやりたいこと・場所・やりたい農業スタイルをかけあわせて、儲かるスタイルを導き出すのが大事だと思います。儲かることだけを追求するなら、“実家に土地があるからそこで農業をやる”“オーガニックの農法の方が絶対にいい”といった制限を全部外して、全体を見るべきです。既成概念がない人ほど成功します。私は将来イチゴ農家になりたいんですが、単純作業が嫌いなので、単純作業をしなくて済むやり方を考え中です。

齋藤:失敗する一番の原因は思い込みですよね。JICAがアフリカの低栄養問題を解決するために、農家にはクワではなくパソコンを持たせた方がいい、と発言していたことを思い出しました。

生駒:僕はとある農業法人との運営で、初期コストの負担に苦しんだ経験があります。今、補助金を使うと設備は新品で購入しなきゃいけないんですよね。そのために先端型ビニールハウスを定価で購入せざる負えなかった。そこはコストを抑えるべきだったと反省しました。今、所得向上をアドバイスするとしたら、「やるべきことをしっかりやること」とアドバイスすると思います。高い所得をあげている人は、個人事業・法人事業に関わらず、売上・コストをしっかり考えているというのが現場を回っての経験知です。

10年後の農業はどうなっている?


齋藤:参加者からの質問にも答えていきたいと思います。「ずばり、儲かる野菜を教えてください」。地域によって異なりそうですね。

生駒:わかりません(笑)。ただ、私たちはこんなことを農業経営者とやっていますという事例で話しますと…自分の住んでいる地域市場のデータを見て、どの時期に、どんな品目が外から入ってきていて価格が高いか解析することをRightARMを使って行っています。市況分析もやってみると結構面白いですよ。

浪越:私はサポート体制が整っているものをつくるべきだと思います。自分が属しているエリアでは、何をつくれば物流がしっかりしていて、戦略的に周囲が支えてくれるのか。アウトローを行くと、茨の道を行く可能性があります。

「楽して儲かる楽しい農業」

齋藤:「10年後の農業はどうなっていると思いますか」。僕はずばり、「楽して儲かる楽しい農業」ですが、みなさんはどう考えますか。

浪越:農業従事者の平均年齢が現時点で高いですから、10年後にはそうとうの空席が出ますよね。じゃあそこで何をしようか、と考えた人が勝つんだろうなと思います。テクノロジーの発展によって、農作物のつくり方、流通、販売の仕方などの選択肢が広がっているので、情報戦にきちんと勝てないと生き残れないでしょう。また農業の中でも、「心を満たす農業」と「胃袋を満たす農業」に分かれると思っていて、自分がどちらに進んでいくのか考えるのが大事だと思います。

生駒:僕らテラスマイルは「産地の最適配置」をしたいと思っています。データを活用して「見える化」することにより、たとえばこの土地で新規就農をするなら、引退した生産者のかわりにこの作物をつくろう。何月にどのくらい単位面積くらいとれれば、目標所得を達成できるといった具合に地域循環を生み出したいです。もちろん、アグリテックについてもどんどん取り入れてデータ分析を行い、アグリテック活用の経営指針を創り、教育普及を行っていきます。九州のアグリテック・データ基盤を生きているうちに構築したいし、税金を納める農業経営者をたくさん支援したいと思います。

岡本:夢がある農業、かっこいい農業でありたいですよね。10年後には自分でハウスをつくれる、自分でIoTがつくれる、そんな農家がどんどん輩出されるおもしろい地域になったら、農業もますます盛り上がっていくと思います。そんな農家を増やしていきたいです。

齋藤:そのためにデータ分析をどんどん使い、コミュニティがあるところに飛びこんでいけたらといいですね!

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