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しあわせをもっと世界に広げたい。注目の女性研究者・起業家が地元を離れて生まれた郷土愛。

光合成細菌でみんなにしあわせな環境をつくる

上が通常の養殖方法で育てた車海老。下が光合成細菌を与えた車海老

光合成細菌を使うとどのような利点があるのか。光合成細菌の培養液を作物に与えると、作物にとって有害な物質をエサにするため、根腐れが起こりにくくなるという。すでに利用されている作物は、米、れんこん、柑橘類。水産関係では、天草の車海老養殖業者が光合成細菌を利用している。

光合成細菌の形は病原菌と類似しており、これを海老に与えると免疫力のアップにつながるのだそうだ。光合成細菌の作用は農作物や水産物の生育環境を整えるはたらきがあり、薬品や肥料の使用を抑えることができるため環境にやさしい。

古賀さんの会社「Ciamo(シアモ)」の名は、「微生物の力で世界をもっとしあわせに」というコンセプトから名付けた。古賀さんは単に光合成細菌のキットを販売して終わりではなく、その後のデータ収集やフォローアップにも余念がない。植物であっても作物によって結果は異なることから、さまざまな作物や品種のデータを収集し、今後につなげていきたいと話す。

そんな古賀さんの取り組みは、女性の学生起業家として注目を集めている。日経新聞などの新聞各紙、テレビなどへの掲載や出演の実績も多数。「どんなに素晴らしいことをしていても、知ってもらわなければ周りの人を幸せにすることはできない」と考えた古賀さんは、会社を起こした1年目は知名度拡大のためにメディアへの出演を積極的に行ってきた。

ビジネスもライフワークも自分がおもしろいと感じられることを

現在、修士課程に在籍している古賀さんはそのまま大学に残り博士課程まで進む予定だという。会社も大学のベンチャー室内にある。今後は光合成細菌を使ってくれる事業者を九州全域に広げること、そして将来は海外への展開も視野に入れている。

起業した人の中には会社を大きくし、上場を目指す人も多いのかもしれない。しかし、古賀さんには上場したいという気持ちはないそうだ。資金に余裕ができたら直接事業とは関係のない、周りの人を幸せにするための活動にも取り組んでみたいと考えている。たとえば、2019年4月21日に熊本で開催されるイベント「イースターパーティー2019 くまもと復活祭」はその取り組みの一つ。古賀さんは、このイベントの実行委員として参加している。

今年、熊本は熊本地震から3年目を迎える。被害の大きかった益城町は、まだまだ復興の途中にあるが世間の関心は薄れつつある。そんな中イベントは「熊本の未来を明るくしたい」というコンセプトで、家族連れを中心とした層が楽しめる企画とした。インスタ映えするステージイベントや、フォトスポットも多数準備する予定だという。

故郷を離れたことで芽生えた郷土愛

古賀さんは、もとから地元の役に立ちたいという気持ちを持っていたわけではない。きっかけは高校卒業後、進学のために熊本市内で生活を始めたことだった。少し古いデータにはなるが、熊本市が公表している平成27年の国勢調査の結果によると、熊本県の県庁所在地である熊本市には県内の人口の約40%が集中している。

一方、古賀さんの地元である人吉には県内の1.8%の人しか住んでいない。古賀さんは、長期休暇などに熊本市内から地元に帰るたびになくなっている商店や店舗を見るようになり、次第に生まれ育った地域に対する思いを強めるようになった。

地元への思いは、生まれ故郷を離れてみると強くなるのかもしれない。今は女性起業家として注目されている古賀さんは、将来は女性としての幸せもつかみたいと話した。一人の若者の取り組みが、故郷の人だけではなく、第一次産業に従事する人たちやその周囲にいる人の幸せをつないでいく。

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