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地方移住した街に、ワクワクできる空間をつくる-築100年以上の旅館をリノベしてオープンした地産地消の食堂

地産地消のメニューを実践-地域の農と食が一体化

店の中央にある黒板に書かれた上木食堂のおしながき。八風農園をはじめ、食材を提供している農家などの名前も明記されている

独立を決意した松本さんは店に事情を話し、半年後に退職することとなった。その間、休みを利用して阿下喜に足を運び、修繕に入ってくれた大工さんと一緒に新しい店づくりに励んだ。そして、迎えた2016年7月、松本さんはいなべ市に移住する。

住む家が見つかるまで、しばらくは寺園家の2階に居候していました。上木(あげき)という字を使ったのは、元々地名にこの字を使っていたからなんです。伊勢神宮に木を奉納していたことから“上木”と呼ばれるようになったそうで、改修の際、『上木』という焼印が出てきました。

4ヶ月後、上木食堂はオープンした。店のメニューには、寺園さんの考え方が色濃く反映されている。

寺園のコンセプトは、食卓をそろえるということ。四季折々、身近な所で採れた旬の野菜を食卓に並べて食べることが一番体にも良いと思っていて、それを実践しています。彼がつくる野菜は少量で多品目。これってすごく大変なことですが、それを体現できる場所が上木食堂なんです。ですから普通の飲食店ではありえないことなんですが、うちは野菜のとれない端境期には数日間店を休みます。

時期的に採れない野菜を無理にスーパーなどで買い、揃えることはしない。一方で、八風農園ですべての食材が揃うわけではないので、いなべ市内や桑名市など、近隣で農家や養鶏場を営む人たちからも野菜や卵、豚肉などを仕入れている。みんな、農や食に対する明確なコンセプトをもって活動している若手農業経営者たちだ。上木食堂は、彼らの販路開拓にも一役買っている。

地元の人々と共に創り上げて行く食堂

レトロモダンな上木食堂。建物の構造や風格をうまく生かして味のあるオシャレな店になっている

松本さんが、上木食堂をオープンさせるにあたり、もう一人忘れてはならない大切な人がいる。それはこの家の大家である林典子さんだ。林さんは3人兄妹の末っ子。他家に嫁いではいるが、自分が生まれ育ったこの家を、どういう形でもいいから残したい思いを抱いていた。

上木食堂が地元に受け入れてもらえたのは、林さんのバックアップが大きいんです。ここは昔『鮨司兵』という名前だったそうですが、まちの人も『鮨司兵さんのとこだよね』といって懐かしがって来てくれるし、大家さんは時々無償で店を手伝ってくれてます。食堂になったことで、大家さんが一番喜んでくれてるのかもしれません。

名古屋から移住し、いなべで店を経営するようになって、松本さんはいなかで長く店を続けるためのあり方を考えるようになった。それは、良い意味でのお客さんとの距離感だ。「都会とは異なる距離感を感じながら、いろいろな人としゃべっていろいろな考え方を知る。自治会にも加入してお祭りなど地域の行事にも参加する。うちがきっかけでもきっかけでなくても、まちが元気になればもっとおもしろいまちになる」。松本さんは、そう考えている。

自分が暮らす街だから、そこが楽しくなればいい

阿下喜商店街の通り沿いにある岩田商店のギャラリー

2017年11月、松本さんは空き家を利活用した「岩田商店」というギャラリーをオープン。デザイン科出身で美術にも興味・関心のある松本さんは阿下喜のまちに、フリースペースとしてアートや音楽、パフォーマンスなどクリエイティブなものを体感できる場所があるといいと考えていた。

岩田商店はオープンから2年目を迎え、これまで東京の若手アーティストから地元の建具屋のおじいちゃんたちの作品までさまざまな展示やコンサートなどが行われてきた。

ちなみに岩田商店のロゴマークは地域の象徴で、花の百名山の一つである藤原岳がモチーフになっており、よく見ると山の稜線がIWATAという英語になっている。上木食堂と同様、松本さんのセンスが垣間見える。

いなべの地で精力的に活動を展開する松木さん。「民泊をやってほしい」という話もでていそうだが、それはもう少し先の目標だ。

自分が暮らすまちだから、そこが楽しくなればいい。これからも、自分ができることはどんどんしていきたいと思っています。

一つひとつ言葉を大切に噛みしめるように、松本さんは未来への思いを語ってくれた。

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