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夫婦でのUターン移住から、こだわりのカフェを営む-熊本・天草『小豆カフェ』

熊本県天草市新和町に、田んぼの中にぽつんと立つ一軒のカフェがある。熊本市の中心部から車で2時間以上、天草市の中心部からも20分以上の立地にもかかわらず、ランチタイムはにぎわいを見せている。「客商売は立地条件がすべて」。そんな常識を覆す『小豆(こまめ)カフェ』にお邪魔した。

天草の人気カフェは古民家のセルフリノベーション

中林優子さん(40)は、夫の淳さん(43)と当時生後9カ月だった息子とともに、2013年に熊本市内から天草市へとUターンした。古民家を自分たちで少しずつリノベーションしながらカフェスペースを整え、移住した翌年にカフェをオープンした。

もともと熊本市内で保育士として働いていた優子さんだが、“作る仕事”がしたいとカフェに方向転換。カフェで働く7年の間に、お菓子作りやカフェメニューの調理方法などを身につけた。一方、淳さんは兵庫県の出身。技術系の仕事に就き、早朝から深夜まで働く日が続いていたため、心身ともに消耗していた。

「カフェをやろう」と言い出したのは、淳さんだった。優子さんの実家がある天草に頻繁に通ううち、この地で暮らしてみたいとも思うようになったという。優子さんにとっては思いがけない提案だったが、夫の提案に乗ることにした。

収入の面だけを見れば熊本市内の方が上回る。しかし、ストレスフルな生活はいつまでも続けられるものではないとも感じていた。天草に移住したことについて、優子さんは「おおむね満足している」と話す。

家族で入りやすい店づくりの工夫が繁盛を呼ぶ

小豆カフェの魅力の1つは、常時6種類ほどの品揃えの中からケーキを選べること。夫婦2人で運営し、ケーキはほとんど優子さん1人で作っている。客の側からすれば選択肢がたくさんあるのは嬉しいことだが、天草市内の中心部から車で20分ほどの田んぼの中にあるという立地を考えると、ロスは多いのではないか。しかし、聞いてみたところ、意外にもロスはほとんど発生しないという。

カフェのもう1つの魅力は、地元の陶磁器をカップや皿に取り入れていること。丁寧に手が込められたメニューは、そのままでももちろん美味しい。その上で、魅力的な食器を用いられるとさらに味が良くなったように感じる。そして、カフェはテーブル席だけではなく、床に座ってくつろげる席もあり、小さな子どもがいる家庭も行きやすい。こうした魅力や工夫が、3世代連れに選ばれる理由になっているかもしれない。

普段、熊本市などにいる周辺地域の親類が一斉に帰省する8月は、小豆カフェにとって書き入れ時だ。この時期には、天草の父母が子どもたちを連れて小豆カフェにやって来る。

都市部と地方の価値観の違いを実感

ただ、せっかく食材や食器にこだわっても、地元の人からはあまり注目されないことが悩みだ。原材料に白砂糖を使わないケーキは、どうしても一般的なものと比べると割高になる。おいしさと材料へのこだわりを両立させるためには手間もかかるため、メニューはさらに高価なものとなる。

しかし、それが地元の人に受け入れられるまでには、まだまだ時間がかかるだろうと優子さんは見ている。

まずは、小豆カフェのファンになってもらうこと。それから、徐々に材料へのこだわりを理解していただき、質をより高めていくことが目標です。

着実に歩んでいる小豆カフェは、今後もスタッフを増やす予定はないと言う。その理由の一つは、地方における深刻な人手不足もある。しかし、最も大きな理由は、中林さんたちが大切にしている姿勢を貫いていけるよう、「いつでも辞められる位の柔軟な経営をしたい」と思いにある。

地元の人に愛される理由は「人柄」にある

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店では地元の作家の手作り作品を販売している。

小豆カフェの人気の秘密は、カフェに流れるゆったりとした雰囲気だけではなく、中林さん夫婦の人柄にもあるだろう。広い天草は、地域ごとにまったく異なる地域性を持つ。実家は天草にありながら、これまで住んだことのない地域に移住した中林家では、淳さんが地域とのハブの役割を果たす。草刈りやゴミ拾い、祭りなどの地域行事に積極的に参加し、地域とのつながりを作っていった。こうした中林家の地道な姿勢は、『こまめで丁寧な暮らし』という意味を持つ、店の名前にも込められている。

小豆カフェのあり方は等身大で素朴。地方だからこそできるカフェの店づくりで、今後さらに地域の人たちに愛されていくはずだ。

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