“患い” だけではなく “人” を診る。これからの地域医療のあり方

点数式で病気と診断することで診療代をもらう国民皆保険をベースとした医療は、果たして今の時代にあっているのか?

2017年9月に長野県茅野市蓼科にオープンした「ライフクリニック蓼科」院長である麻植ホルム正之さんは、現代の医療の仕組みに対しずっと疑問を持っていたそうです。

今の医療は “患う” 部分 ばかりを診て、”人” を診ていないのではないかとずっと葛藤していました。患者さんを症例に当てはめて、結果的にその人が不在になってしまうことが起きているように感じました。

あるとき、ホリスティック(統合)医療に出会ったんですね。これは、それまでの病気だけを診る対症療法とは違い、人の心身全体を診る医療です。父ががんを患ったこともあり、多様な方法を探しているなかで、高濃度ビタミンCや温熱療法など、他のアプローチ方法に出会いました。しかしそういったことは医者は知らないわけです。医者である私としても当時は知らない分野でしたので、とても驚きました。

地域密着型クリニック

ライフクリニック蓼科は、オーダーメイド診療を行う地域密着型クリニック。ここでは、 ”一人の人” として診るために「患者」ではなく「クライアント」と呼んでいます。また、スタッフのみなさんのユニフォームも白衣ではなく、エステなどで着られているような親しみやすいものを着用されていたりと工夫がなされています。

クリニックには内科・消化器内科と小児科、健診・人間ドックが設置され、保険が適応される「保険診療」の他に、ビタミンミネラル点滴(マイヤー療法)、高濃度ビタミンC点滴療法、プラセンタ療法、副腎疲労症候群外来といった「保険外診療」も行っています。

患者は、基本的には好きな病院を選べますが、患者と医者も一期一会。ご縁なんです。だからこそ、病気だけでなく人に寄り添った医療をやりたいと思いました。私は、医療は自由な診療であるべきだと思っています。

麻植さんは、そう語ります。

一人ひとりをカウンセリング

クリニックでは、一人ひとりカウンセリングをした上で、先生が生活スタイルや職種に合ったものを提案してくれます。3ページある外来問診票には、喫煙や飲酒の他に、カフェインやカゼイン(乳製品)の摂取状況、睡眠時間など、多様なアプローチができるよう、生活習慣にまつわるたくさんの質問が用意されています。

問診票の一部

妊婦さんでも生活習慣病の方でも、少し生活リズムを変えるだけで改善される人もいますので、薬ありきの診療ではなく、その人に寄り添った診療を心がけています。クライアントさんからこういうのを試したいという声があれば、それを断るのではなく、その問いかけに寄り添って答えていくのが医療者の本来のあり方なのではないかと思っています。

さらに、病気になる前の「未病」の状態から改善するといった、海外では当たり前となっている「予防医学」の観点も取り入れています。健康診断や人間ドックはもちろん、遅延型食物アレルギー検査等の特殊検査も取り扱っています。

ホテルのようなクリニック

診察室は、安心してくつろげるようホテルのような内装にこだわったそう。「病院=行きたくない場所」ではなく、「何もなくてもつい行きたくなってしまう場所」になるよう工夫されていると麻植さん。

さらに、建物の材料には、八ヶ岳の鉄平石、蓼科の植物など、地元のものをできるだけ多用し、施工には近くのスワテック建設株式会社さんが関わるなど、地域性にもこだわっています。

“病気だから関わるクリニック” ではなく、”病気の前から関わるクリニック” でありたいと思っています。なので、内装はできるだけクリニックの感じをなくし、”調和” を意識したものにして欲しいと建築家やデザイナーにお願いしました。

調和のテーマには、クライアントと医者の調和だけでなく、スタッフとの調和、まちとの調和という意味も込められています。そのため、まちの景観を壊さないよう、まちに馴染む外観を意識したそうです。

1階の診療スペース。蓼科の美しい景色が見える大きな窓で、解放感のある館内。施設基準上やむをえない場所以外は、黄色い照明を使用。

Kids Room

ヒーリングサロンスペースも併設

また、クリニックの1階には、国民皆保険診療が行われるスペースの他に、身体のことを第一に考えたハーブティーやお菓子を提供するカフェ、トレーニングマシンを取り揃えたジム、癒しを与えてくれるヒーリングサロンスペースも併設しています。

医療的なアドバイスだけでなく、そのときの体調に応じて食や運動のアドバイスもしてくれる、まさに”ライフスタイルアドバイザー”のようなクリニック。

オープンしたばかりのカフェスペース「CAFE FIKA」

今後は “不安” を “安心” にするような検査治療をどんどん入れていきたいと思っています。常に選択権はクライアント側にある。だからこそ、医療には多様性が必要だと考えます。また、まちとの関係性も持っていけるよう、近くのシェアオフィス “富士見 森のオフィス” などと連携して、ワークショップも開催していく予定です。この場所が、地域のみなさんが集う “健康の公民館” = “コミュニティスペース” になっていったら嬉しいですね。

「人ありきの医療」「地域の中にある医療」を大切にしたライフクリニック蓼科。昔はどこにでもあった ”まちのお医者さん”として、まちとともに暮らし生活するクリニックは、今の時代に必要な、医療のあるべき姿なのかもしれません。

ライフクリニック蓼科

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TEL:0266-75-2472
住所:長野県茅野市豊平3317-1
受付時間:月〜金 午前 8:30〜12:30 午後 14:30〜17:30
第2・第4土曜日 8:30〜12:30
休診日:日・祝日・第1・3・5土曜日

出典
点滴療法研究会HP
一般社団法人日本胎盤臨床医学会

ライター:松尾 沙織

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