ふるさと納税返礼品に、ポータブル○○○!?-群馬県太田市

MACHI LOG編集部


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寄稿者: 岩崎未来
鹿児島県出身。2児の母。東京学芸大学で地域社会学を学んだのち、出版社や編集プロダクションに編集者として勤務。第一子出産を機にフリーランスに転向し、2013年に群馬県に移住。さまざまな取材・撮影・執筆経験と、よそもの・ママ視点を活かし、県内外の多数の媒体で記事を編集・執筆中。

 

群馬県南東部、関東平野の最北端に位置する太田市。

そこには目立った山や川はなく、もちろん海もありません。

あるのは、たくさんの工場。大手自動車メーカーや電機メーカーをはじめとする、第2次産業に栄えるまちです。

そんな太田市のふるさと納税返礼品には、他地域ではなかなか見られない商品がラインナップされています。

「ものづくりのまち」としての一品


太田市は現在の「スバル」の前身となる「中島飛行機」があったことから、戦時中に激しい爆撃を受け、多くの歴史的・文化的遺産が焼かれてしまいました。

それでも製造業の技術は健在し、都内から車で1時間ちょっとという立地も活かして、現在でも工場が各所に連なっています。

気になるふるさと納税の返礼品は?

そんな太田市のふるさと納税返礼品は、市外在住者向けのもので23商品。

食品やお酒などもあるなか、やはりいちばん目を引くのが「ポータブル冷蔵庫」ではないでしょうか。

しかも、1種類だけではありません。冷・温蔵庫、冷凍・冷蔵庫、と種類があり、なおかつその大きさと容量もさまざま。

寄付対象金額は5万円~で、全8種類の「ポータブル冷蔵庫」関連商品がラインナップされています。つまり、全商品のうちの3分の1が、冷蔵庫関連商品というわけです。

ポータブル冷蔵庫とは?


「ポータブル冷蔵庫」は、すべて太田市内にある澤藤電機株式会社(以下澤藤電機)の製品。

発電機や電子部品をつくる傍ら、ポータブル冷蔵庫「ENGEL(エンゲル)」の製造にも力を入れています。そしてこのENGEL冷蔵庫、車のシガーソケットにつないで車載できることが大きな特徴。また、澤藤電機の冷蔵庫は他社製品に比べて揺れに強く、静音で、消費電力も小さい、と優れた点が多々あり、多くの大型トラックなどに採用されている、自慢の逸品なのです。

大手自動車メーカーの本社・工場が鎮座し、各種製造業が盛んな太田市。

製造しているモノが高額商品だったり、商品のパーツだったりすることから、返礼品に採用することも、アピールすることも難しいのが現状です。そんななか、「これなら市民が使える!」ということで採用された特典が、「ポータブル冷蔵庫」なのでしょう。

実際、群馬県は自家用車所有率が全国1位、運送業に従事する人の割合も多く、かなりの車社会でもあります。そんな文化を垣間見られる返礼品なのかもしれないな、と思うと、少し腑に落ちる部分もあるわけです。

「1億円の赤字」が現実

今やふるさと納税は、自分のふるさとの応援のために寄付するのではなく、「ここの○○が食べたい」「今の季節は○○が欲しい」などと、返礼品目的で寄付する市民が多くなっています。

返礼品目当てにふるさと以外に寄附をする、その額は今や年間1億6千万円にまで膨れ上がってきており、そのおかげで潤う自治体もあれば、大損をする自治体も出てくるのは当然のことです。

太田市に入ってくる寄附は、年間2千3百万円。しかしながら、他地域に流れている寄付が1億3千万円……つまり、1億円の赤字、ということになります。

理由は、市の魅力をきちんとアピールできていないこと。そして、太田市の良さを掘り起こしきれていないこと、といったところでしょうか。

「おいしいもの」はあるけれど…


もちろん、返礼品のなかには食べ物や飲み物もたくさんあります。

上州牛にこだま西瓜、大和芋、地ビール、大和芋を使った焼酎など……どれもおいしい特産品であるのは間違いありません。

どれも誇れる地元の特産品であり、贈り物やおみやげに選ばれることも多いです。

しかしこれらのブランディングがなかなかうまくいっておらず、知名度が上がらない、というのが正直なところ。

同じ肉なら他地域の有名なお肉を、同じお酒なら他県の銘酒を……という具合に、他地域に寄付が流れてしまうのも現実です。

今後の挑戦に期待

海や山がなく、戦時中にほとんどの歴史文化が焼かれ、農業、林業、漁業といった第1次産業やそれにまつわる商品が、どうしても乏しくなってしまう太田市。「1次産業物品が注目されないなら、2次産業製品をラインナップすればいい」(広報おおた No.410 「こんにちは市長です」より)と、市長も返礼品の見直し・改革の必要性を感じているもよう。

今後、一般消費者に寄り添った2次産業製品の開発・提供がどれだけできるのか。「ポータブル冷蔵庫」だけでなく、どんな製品がラインナップされるのか、どれだけ一般消費者にその魅力を伝えられるのか、が大きな鍵となってきそうです。

そして、数は少なくとも確実にある1次産業の特産品。これらのブランディングやPR、そして新たな特産品の開発や掘り起こしを、誰がどのように担うかも重要な課題になりそうです。

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