茨城県のほしいも学校が創る新しいほし芋の未来

MACHI LOG編集部


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スタートをきった「ほしいも学校」プロジェクト。もっと多くの人を巻き込み、大きな渦を起こすための仕組みづくりに奔走する日々のようだ。今後のプロジェクトの展望、そして、まだ「ほしいもを手にしたことが無い人たちこそ、ほしいもの未来をにぎっている。」という、その真意をさぐった。


ほしいも学校の仕組み

本の作成と同時に、ほしいも学校を事業として取り組むため、仕組みづくりをはじめる。検討の結果、有限事業責任組合(LLP)という形態で活動を開始することになった。

これまでほしいもには特にグレードは設けられておらず、どれもこれも同じ品質として扱われてきた。これを優、秀の二種類に分け、更に「ほしいも学校」の名を冠して売られているほしいもは、「優」グレードと格付けされたほしいもだけと決めた。

ほしいも学校有限事業責任組合が「ほしいも学校」のパッケージを各ほしいも商店に販売し、パッケージ利用料を有限事業責任組合の運営費に当てる、という仕組みだ。

ここでは「ほしいも学校」というパッケージでほしいもが売れることがすべての目的ではない。「ほしいも学校」がきっかけとなり、ほしいもという存在に目を向けてほしい、食べてほしい、というきっかけを「ほしいも学校」で作り出す、というわけだ。

ほしいも学校の取り組み自体は、本が完成した2010年9月以降、佐藤卓さんを招いてのセミナーなどが始まったばかりだ。今後は、ワークショップやセミナー、講義、ほしいもレシピの募集、またほしいも作り体験など、ほしいもを知ってもらうためのさまざまな仕掛けを作っている最中だ。

ほしいも学校の関係者は、月に1回程度ミーティングを開催し、ほしいも学校の今後の活動について、真剣に議論し、新しい仕掛けを生み出し続けている。

「ほしいも学校の取り組みが始まったことでほしいも業界が急激に変わるわけではない。しかし、ほしいもを新しい見方で受け止める、そして伝えるプラットフォームとなるようなコンセプトが必要だった」、と鬼澤さんは話す。

メディアなどに取り上げられ、注目度は高まってきているが、保守的な業界に変わりはないほしいも業界。地元でもまだまだ反発はあるようだ。

鬼澤さんはこの状況を受けて、「なんでも新しいことを始めたとき、反発はあるもの」と話す。「どこのまちづくりの活動でも、新しいことには拒絶、そして抵抗し、なんとなく妥協し始めて、参加し始める」という過程をたどっているものだ、と冷静に分析する。

ひたちなかのほしいもについてはどの段階?とたずねると「今は抵抗から妥協に移ってきた段階でしょうか」と鬼澤さんは笑う。 今はまだほしいも学校に関わっていない、ほしいも農家や商店の人たちも巻き込んで、一緒にほしいも業界を盛り上げ、少しでも地元に定着してくれればいいという想い。そして、このほしいも学校の仕組みを支えているのは、関わる人々の、この取り組みを心から面白い、楽しい、やり続けたいというエネルギーがほしいも学校を支えている。

ほしいもを食べたことない人たちこそ、ほしいもの今後支える人たちだ。

この取り組み、そもそも誰をターゲットにしてはじめられたのか。
まずは、ほしいもを見たことがない、食べたことがない、という若い人たちだ。ほしいもは添加物を使わず、自然な甘みがあるため、子どものおやつに適している。地元ひたちなかでは、ほしいもオフシーズンの夏にも冷凍したほしいもを解凍しておやつとして食べている家庭も少なくないらしい。また地元ひたちなかのマラソン大会では、選手たちに道路脇から配布される栄養補給に、バナナなどに並んで、ほしいもが配られる。完走した選手には、「乾燥した」いも、というだじゃれにちなんで、ほしいもが賞品にもなったそうだ。

そして、ほしいも作りに夢や希望を感じ、若い人たちに農業の世界に入ってもらう、というのがほしいも業界が最も望む「ほしいもを通して見る未来」だ。
また、今現在、ほしいもを作っている農家も例外ではない。ほしいも農家の中には高齢化が進み、ほしいも作りを続けることが難しくなってきている農家も少なくない。
ほしいも農家を一軒一軒回って話を聞いた鬼澤さんは、農家の人たちの良さをほしいもを食べる人たちに伝えたい、そして農家の人たちをほしいも学校を通じて笑顔にしたいと思った。

ほしいも学校を始めて良かった、と小泉さんたちを思わせるエピソードがある。
ほしいも作りは今年まで、と思っていたほしいも農家さんがあったそうだ。お年を召したご夫婦でほしいも作りを長年続けてこられたが、手間のかかるほしいも作りを続けるのはもう限界だと感じていたそうだ。 本『ほしいも学校』を作る中で、佐藤卓さんらプロジェクトのメンバーでこの農家さんを訪ね、ほしいも作りの工程を教えてもらい、ほしいも作りの様子を写真収めた。後日、このご夫婦は、ほしいもを作り続けてきたことに誇りを感じ、もう少し続けてみようという決断をされたのだ。

ほしいもワゴンが日本全国を駆け巡る日も近い?!

最後に今後5年くらいの間にほしいも学校がやろうとしている活動を改めて聞いてみた。
「食育を通じて、お母さんたちに体にやさしいほしいもの存在を伝えていきたい」と小泉さんは意欲を見せた。またほしいもがそうであるように、その土地でしか作れない、場所に根付いた繊細な食文化を持つ場所が全国にはたくさんある。そうした土地をひとつひとつめぐる「ほしいもワゴン」で日本全国を回ってみたいと目を輝かす。
また、今後はほしいも学校を通じてほしいもを海外にも発信していきたいと語った。

小泉さんと鬼澤さんが語るほしいも学校にはほしいもの良さを伝えたい、という熱い想いを感じると同時に、一時の波に終わらせず、細く長く取り組んでいきたい、というちょっとやそっとでは消えることがないであろう情熱が感じられる。

ひとつひとつの活動を大事に選んで、焦ることなく、活動を根付かせていく工程は、ほしいも作りにも似ている。ほしいももゆっくり時間をかけて蒸し、ゆっくり冷ますと甘くておいしくなるそうだ。 一見非現代的にも聞こえるこの工程に、ほしいも学校の未来が見える。(終)

ナチュラルローソンでほしいも学校のほしいもが手に入ります!

2011年1月9日からナチュラルローソン全店でほしいも学校のほしいも(1個入り)が限定発売されます。食べやすく、ほしいものおいしさをぎゅっとつめたパッケージ。どうぞ、お試しください!

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