地方創生の一環として、全国各地で農産品や工芸品を活かした商品開発がおこなわれている。
宮崎県新富町で2017年4月に設立された地域商社「一般社団法人こゆ地域づくり推進機構(略称:こゆ財団)」は、ふるさと納税の返礼品としても人気の特産であるライチを活かして、ライチ茶やライチクリームなどを開発した。
それらの商品開発の裏側には、どのような人が関わり、どのような想いが込められているのだろうか?
今回は、ライチクリームの開発に関わっている株式会社SUNAO製薬の代表取締役 廣澤直也さんに、開発までの経緯や今後の販売戦略について伺った。
新富町の名産品が安心・安全の「ライチクリーム」へ
—こゆ財団と提携して商品開発をするに至った経緯を教えてください。
廣澤 平成29年2月に福岡県で、KVC2017(九州・山口ベンチャーマーケット)というイベントが開催され、そこでビジネスプランを発表した結果、九州・山口ベンチャーアワーズ地域活性化賞をいただきました。
そのイベントの審査員が、こゆ財団代表理事の齋藤さんだったのです。その後、宮崎に戻ってお会いした際に、ライチを使った化粧品を作りたいというお話をいただいたのです。
—なぜライチクリームを作ろうと考えたのですか?
廣澤 当時、妊娠線をケアする商品がネットなどでも注目されていました。そこでライチの成分を調べたところ、100g当たりの葉酸量が100μgと高含有されていたのです。これは1日に必要な量の1/4の量に値します。これに目を付け、妊娠線のケアをするボディークリームを提案させていただきました。
新富町のライチは、安心・安全はもちろん、全国的にも注目されている高級品なので、デリケートなお母さん達に安心して使っていただけると考えたのです。
—ライチクリームを商品化するまでに、どのような苦労がありましたか?
廣澤 齋藤さんに宮崎で最初に会った2017年3月からプロジェクトが始動したのですが、当社では、ライチの果皮や種子、果肉をエキス化するという経験がなかったので、納得できる成分抽出技法が完成するまで試行錯誤しました。
また、化粧品の開発はこゆ財団の方々も初めての経験だったので、無知だからこそ生まれる躊躇や不安を避けるため、プロとして迅速かつ丁寧な対応を心がけ、半年で商品が完成し、2017年9月に商品の販売が開始されました。
—ライチクリームを販売して約1年ですが、反響はいかがですか?
廣澤 正直なところ、まだヒット商品とは言えません。
ライチクリームをヒット商品にするために、こゆ財団の方とも定期的にお会いして、商品の良さを改めて知るための勉強会などを開催し、情報交換をしています。
PRする前に考えたい「誰が、伝えるか」
—販売戦略で“キモ”になる部分は何だと思いますか?
廣澤 インターネットにしても卸売にしても、PR方法が重要になってくると思います。特に「誰がPRするのか?」。
人が人に商品の魅力を伝えることを大事にしていきたいと考えています。もちろんSNSなどの手段を利用することは当然ですが、イベントなど積極的に出展して、直接PRする方法が個人的に一番重要になると思います。
—今後の意気込みを聞かせてください
廣澤 まずは、ライチクリームを年内に売り切ること。そして、次々と新しいビジネスモデルを実現しているこゆ財団に負けないよう、私自身も新たな商品開発やサービスの展開をしていきたいと考えています。
私自身もこゆ財団の営業マンというつもりで、商品の販路拡大を目指して頑張ります。