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鳥取県×日本財団で始まる地域講座「研志塾」の挑戦とは?

鳥取県×日本財団で始まる地域講座「研志塾」の挑戦とは?

    CATEGORY: AREA:鳥取県

鳥取県を舞台に、新しい地域づくりの講座が始まります。

名称は、「研志塾」。名前の由来は、幕末の時代に鳥取で始まり、藩の内外から多くの学生を集め、明治維新にも大きく貢献した同名の私塾「研志塾」にちなんでいます。

本講座の講師を務める株式会社PubliCoの代表取締役CEOの長浜洋二さんは、「受講生の方々が、自分と地域との関わり方を整理、考える場にできれば良い」と語ります。

研志塾の狙いをうかがいました。

「起業」一択ではない地域との関わり方を作る

地方創生という掛け声で、地域活性化のための様々な取組が行われる中、地域課題解決のための起業家育成の場が増加しています。

長浜さんは、「これからは色々な立場の人が地域に関わる場を作っていくことが重要」だと言います。

色々な立場の人が地域に対してできることを増やす

社会起業家の輩出ではない講座を立ち上げたいと考え、準備してきたという長浜さんは、現状をこう分析します。

起業家の育成・輩出支援は、より即時的に地域の課題解決を担うプレイヤーが起業できるようなサポートを行うものです。実は、こうした層の人たちは既に自分の専門性や価値観がかなりの程度固まっていることが多く、すでに起業済みであったり、自力で起業することができる人たちなのです。

一方で今後は、トップランナーとも言える、これら社会起業家だけでなく、色々な立場の人が地域に対してできることを推し進めていくことができる環境を作ることで、多様な取組が生まれるだろうと考えています。日本でも最近注目を集めている「コレクティブ・インパクト」という発想です。つまり、一部の人や組織だけでなく、誰もができることを持ち寄りながら地域の課題解決に取り組んでいくということです。

そこで注目したのは、「地域と関わりたいがどう始めたら良いか」と悩んでいる層の存在。

今自分が置かれている立場や仕事のまま、地域課題解決のために行動したいと考えている人々にアプローチできないかと考え、今回のプログラムが誕生しました。

期間限定の講座という中で、地域と自分にあらためて向き合って、受講生同士が切磋琢磨する中で、地域と自分との居心地の良い関係性を確認することを目指しているんです。もちろんそこから起業家が登場することはありえるでしょう。

個人と組織と地域が繋がり、連携していくプログラム

講座のプログラムには、これまで様々な講座を手がけてきた長浜さんらの知見が活かされています。

4つのパートから構成されており、「個人編」「チーム編」「組織編」「地域編」というステップで進みます。

個人と組織と地域が繋がる場をデザインしています。個人編では、地域で
活動する上で不可欠なコミュニケーション手法の習得を土台に、自己内観や
他者理解を深めながら、地域資源や人といった地域にあるものを定量的・定性的に
把握する方法を学びます。

さらに合宿を通じて、個人から組織への橋渡しを行うためのチーム作りを体験し、
個人の思いが、組織のビジョンに結実することを経験します。

地域の課題を解決しようとする場合、やはり個人の力だけでは限界があります。
法人格の有無を問わず、組織として事業を行うことで創出できるインパクトも
高めることができます。組織編では、組織の運営に必要なビジョンやミッション
作りにはじまり、マーケティングやファンドレイジング、組織体制などの基本を
習得します。

そして総括の場で、何らかの地域観を確立した個人(受講生)と地域で同じような
思いを持つ個人や組織が繋がり、具体的なアクションへ発展していくというわけです。

研志塾のテーマである地域観の確立に向け、鳥取県内の東部、中部、西部と
毎回講座の開催場所を替えて実施するんです。参加者の方には大変かも
しれませんが(笑)。。。そして、地域観をさらに深め、一歩を踏み出したい人には、
研志塾終了後、県内各地域で既に活動を行なっている先輩の元でインターンシップを
経験することもできます。

地域との関わり方に悩んでいる人こそ来てほしい

研志塾の受講生候補は、実に多様です。それはその多様性の上でのコラボレーションや創発が地域課題解決に繋がるという意思の現れだといえます。

受講生として、敢えて言えば「すぐに起業できるプランがある」という人ではないイメージです。例えば、地域とどう関わっていこうかモヤモヤしている人、今は東京で働いているけれどいつか鳥取にUターンしようと考えている人、Iターン希望者や、これから就職を迎える学生、任期終了後のキャリアを考えている地域おこし協力隊の方々も歓迎しています。

ポイントは、「思いがあること」だと長浜さんは熱を込めます。

地域を変えるような人財はそうそういるわけではありませんし、いきなり登場してくるわけではありません。時間はかかりますが、思いをもった人が集まることでお互いに刺激を受け、そういった人が生まれてくると思います。

「自治ってる」という状態を目指した取組の一環

研志塾の取り組みも含めて、どのような状態を地域の理想のあり方として描かれているのでしょうかと質問すると、

最近、「自治ってる」という言葉を流行らせたいと思っているんです

と長浜さんは笑います。

個人でいう「自立・自律」ということを組織や地域で考えると、「自治」ができている状態のことを指すのだと思います。自治が当たり前になり、「最近ちゃんと自治ってる?」なんて会話がお年寄りから子どもまで普通に飛び交うような風土が根付いてくれば良いと思いますね。

研志塾の申込みはこちらから

研志塾の申し込み、プログラムの詳細はこちらからご覧いただけます。

応募締め切りは、3月31日まで。

地域と自分の関係を考える機会をお見逃しなく!