天然記念物は、国が文化財保護法に従って指定する動物・植物・地質鉱物、さらには人間に作られた二次的な自然物を言います。
山梨県の天然記念物の数は常にトップ10内に入っており、人口10万人あたりの天然記念物数を示す天然記念物の数は、3.57件と2015年末時点で1位となっています。
山梨県の天然記念物はいったいいくつ?
富士山が生み出した自然の洞窟や岩、さらに富士山周辺の独特な生態系に関連するものが多い点で、2015年末の時点で特別天然記念物が3件、国指定天然記念物が31件あります。
山梨県が誇る3つの特別天然記念物とは?
山梨県で3件ある特別天然記念物のうち2件は、雷鳥やカモシカといった地域を定めない生き物になります。
山梨県だけに指定されている特別天然記念物としては、「鳴沢溶岩樹型」があげられます。
山梨だけの特別天然記念物「鳴沢溶岩樹型」
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「鳴沢溶岩樹型」は864年(平安時代)の貞観噴火で、森を溶岩が覆いつくした際に、溶岩の熱で木々は燃え尽きてしまい木の幹の形の穴が残ったものです。
溶岩の量によっては完全に木々を飲み込んでしまうため、ちょうど良い溶岩量だった鳴沢村にだけ溶岩樹型が残っています。
最大のものは直径180cm、深さ4.6mにもなります。
山梨県で最も古い天然記念物「山高神代ザクラ」
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文化財保護法の前身の史跡名勝天然記念物保護法は、大正8年に施行されました。
そのわずか3年後の大正11年に天然記念物に指定されたのが、北杜市にある実相寺の「山高神代ザクラ」です。
日本三大桜に数えられる名桜
「山高神代ザクラ」は、日本三大桜の一つとも呼ばれ、植えられた年代が分からないほどの古木であることから神代(神の代から続く)と名づけられました。
木の高さはありませんが、根元の幹のまわりは10.6mもあり、日本の桜属の木でも最大規模を誇ります。
伝説も有名
老木であるため、樹勢に関するエピソードが多く、鎌倉時代には日蓮上人が樹勢を回復させたと言う逸話もあります。
現在も北杜市教育委員会により樹勢回復事業が続けられています。
大正末期に発見された日本の犬「甲斐犬」
山梨県では、コウモリやブッポウソウといった県特有の生き物も天然記念物に指定されています。
その中でも、「甲斐犬」はテレビでも取り上げられるほどの人気の日本犬になります。
「甲府犬」になったのは実は最近なんです
甲斐犬は昔から山村で飼育していた虎毛の犬でしたが、他犬と別種の犬として発表されたのは昭和5年になります。
虎毛の犬は、希少種として人気を博しましたが、そのことで絶滅の危機に瀕します。
絶滅の危機を脱するべく天然記念物へ
そのため、昭和9年には天然記念物に指定され保護と繁殖が行われています。
「甲斐犬」には赤虎毛と黒虎毛の二種類がおり、体高は40から50cm程度になります。
北海道犬などと近い遺伝子を持ち、気性が荒いことも特徴です。
もともと山村では猟犬として飼われていたのだそうです。