いま、ふるさと納税が注目を集めています。
昨年、最もふるさと納税を集めた自治体は長崎県平戸市。
その額、14億6200万円!
なんと今年は既に14億円以上を集められるペースとなっており、20億円以上になる可能性も見えてきています。
これだけの額を集めることができた理由とは何かを、平戸市ふるさと納税推進班の黒瀬啓介さんに伺いました。
平戸市がふるさと納税額日本一になった3つの理由
1. 好きなときに取り寄せられるカタログポイント制度の採用
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ふるさと納税制度を活用するにあたり、他がやっていないことをすることと、寄付をしていただく方の立場にたった仕組みづくりをすることを目標にしました。
従来の仕組みは、商品を決めて申し込んだら、後は届くのを待ってね、という仕組みです。
これは寄付者の立場にたった仕組みではないため、これを変えたいなと。
そこで平戸市は、カタログポイント制度を導入し、ポイントを使うことで、お好きなときにお取り寄せできますよという制度にしました。
平成25年8月に始めた当初は、同様の仕組みはどこもなかったです。
平戸市は、特産品が少量多品目であるというところに特徴があり、カタログで平戸をパッケージ化し、一覧化できるようにしたいと考えたんです。
「カタログに掲載された商品の中で選んでもらわないといけない」ということでもあるので、地場産業の基盤強化の側面もあり、生産者や事業者のみなさんと一緒に、商品パッケージや説明文などのレベルから改善できることはないかと話し合うような動きもできています。
紙のカタログにしている利点はもうひとつあり、手元に残ることで、平戸に行ってみたいな、応援したいなという思いを喚起できるのではないかと考えています。
2. 生産者と行政の信頼関係の厚さ
全国の多くの自治体は行政主導で、生産者を募っていると思います。
しかし、平戸市では生産者に「出品しませんか?」とお願いをしていません。
お願いして協力してもらうのではなく、一緒にチャレンジする仲間づくりをしていきました。
だからこそ、共に悩んで、考え合うという関係性が作れています。
例えば、お礼状を入れるかどうかや、お問い合わせにどのように返答するかなど、どうすれば喜んでいただけるかを考えていますし、そこに行政と生産者の間の意識のズレはありません。
ふるさと納税で、産品を送るということを自分ごとにしていただいているのだと思います。
勘違いしてはいけないのは、この制度があるからこういう関係性ができているのではなくて、地域に根ざした人同士の繋がりがベースにあると思います。
私自身も、いち地域人として、誰にもまけないくらいに生きてきていると自負していますし、だからこそ私の思いに生産者さんも応えてくださるし、生産者の思いに応えたいとなっているのだと思います。
3. 前例にとらわれず、新しい取り組みを行った
ふるさと納税の告知をどうやって展開するかなどのアクションを早く行いました。
基本的に、行政というのは右へならえをするのですが、何の事例もないところを切り開くことができたと思います。
ジャンルに続くのではなくて、ジャンルを作るアクションができました。
現在進行形で、小さな町の事例が日本を変える可能性があるかもしれないと思っています。
平戸市の取組が、小さな町のイノベーションとして全国に徐々に広がっている実感があるからです。
もともとカタログ作成などは予算がなく、自分でイラストレーターで作ってたんですよ(笑)。
インクジェットプリンタで印刷し、丁寧に製本テープを貼って送り出したのが最初です。
その後、大きな話題になることができて、ひとりでやっていたことも、3人の班が作られるようになり、変化を感じています。
予算がないからできてないはダメだと思っていて、動いて結果を出してこそついてくるものだと思いますね。
地域活性化の起爆剤になるツール

ふるさと納税フェスタの平戸市ブーススタッフのみなさん
ふるさと納税だけを見ると、返礼品合戦になっている部分もあるかもしれません。
しかしその中に、本気で地域を盛り上げたいと思っている職員もいます。
地域には、光の当たっていない生産者さんもいらっしゃいます。
そんな人たちが、思いをもって繋がって実行できるのがこの制度だと思います。
地域活性化の起爆剤となるツールだと思っています。
入り口は特産品でも良いけれど、その背後にある地域への思いも、ぜひ感じていただきたいです。
平戸の名が広まるにつれて、全国各地で、応援するよって人がいることになれば、地域は生きていけると思います。
ふるさと納税をきっかけに、その思いや、地域の良さに注目してほしいと思います。