開学12年目にして、秋田県にある新しい大学が、日本で最も有名な大学の一つになっている。
今や、有名大学と肩を並べるまでになった国際教養大学には、なぜ人が集まるのか。
全国各地の地域ブランディングを手掛けるNPO法人まちづくりGIFTの斎藤潤一さんと、国際教養大学の常務理事を務める佐々木昌良さんが対談を行った。
地方に優秀な人材が集まる3つの理由
斎藤:地方で課題のひとつは、人を集めるという課題だと思います。どのようにすれば、地方に優秀な人を集めることができるでしょうか。
佐々木:受験倍率は10倍以上になっています。10年かけて、受験生が集まってくるという状況になっています。3つの理由があると思います。
1. 教育方針の徹底
すべての授業を英語で行っています。一部が英語ではなく、全てが英語です。実際にやってみると難しいのですが、徹底してやることを続けています。
2. 少人数教育
ひとクラスが、おおよそ17人です。一方通行ではなく、インタラクティブな授業を徹底しています。参加してはじめて勉強ができるのが特徴ですね。
3. 必須の留学
国際教養大学では、1年間の留学が必須です。また、留学先で取得した単位は国際教養大学の単位として認定します。
行くための準備は大変ですが、コミュニケーション能力を最重視し、身に付くようにしています。
これらがポイントになっていると思いますね。
伝えるときは、ストレートに伝えるから伝わる
斎藤:教育方針を定めて、スタンスをぶらさないということですね。
佐々木:幅広く、グローバルな教養を身につけてもらうことが大事です。他校とは、教育方針が大きく違いますね。なので一番大事な部分です。
斎藤:これらの教育方針は、どういう過程でできたのですか。
佐々木:新しい大学として、0からのスタートだったからできました。既存の大学だと、派閥があったりしてやりにくいことが、そんなことがなかったのです。
スローガンは、Be a Global Leader!
斎藤:学生にはどのように魅力を伝えているのですか。
佐々木:特別なことを伝える必要はなくて、ありのままを伝えようと思っています。ミッション、ポリシーが明確なので、伝えるときはストレートに言えるんです。
Be a Global Leader! を掲げて、全国をまわって伝えていきました。すると、全国から学生が集ったんです。
斎藤:学生のニーズにこたえる大学だったんですね
佐々木:秋田の片田舎に飛び込もうという、腹の座った学生が来ていますね。ビジョン、ミッションに共感した学生だからこそ、強いのだと思います。本気の人が来ていると思います。
斎藤:ミッション、ポリシーを定めて、それが刺さるからこそ伝わっているのだと思います。ぶらさない姿勢に惹かれているのだと思います。
年間約250回の地域交流で、地域貢献
佐々木:秋田県が設置した公立大学ですので、秋田への地域貢献は重要です。秋田県民から理解なくしては存続できません。そのため、年間に約250回も地域貢献活動を行っています。
近所の幼稚園に留学生が英語教室に行ったり、中学・高校の先生を対象とした「英語で英語を教える」教授法を学ぶセミナーを開くなど、その範囲は広いです。
アメリカの有名な一流大学をベンチマーク
斎藤:地域貢献をすることで、どのように進化していくことをお考えですか。
佐々木:国内では知名度は上がっていますが、世界的にはまだまだです。秋田のみなさんの理解を高めつつ、世界的にも、国際教養という分野で、秋田にすごい大学があるぞ、という状態にしたいと考えています。
今は、アメリカの有名な一流大学をベンチマークしながら、いかに世界レベルのカリキュラムが作れるか、違和感なく、相互の留学生が学べるかを考えています。
斎藤:地方にあるという利点を生かしつつ、目線はグローバルから外さないということに、地方で人を集めること、また世界と勝負するヒントがあるように思います。
本日はありがとうございました。
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